奪ふ男
ジョーカー 2−15 (6/6)
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後ろからいきなり抱きつかれ、身動きができなかったのだ。
首だけ後ろに回すと、すぐ近くにあった猫のような眼とかち合った。
「……西島さん」
僕は困惑の顔を、意図的に彼女に見せた。何でこの女、こんなところに。
西島は、楽しくて仕方がないという笑みを浮かべていた。彼女は上機嫌に歌うように続けた言葉で、僕の足を完全に縫い止めた。
「あたしの話を聞いてちょうだい。もし聞かなかったら、智明くんは後悔するよ? 谷岡さんのこれからの、たぁいせつな話だから、ね」
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