奪ふ男

ジョーカー 2−11 (5/5)
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 僕の背後の開いた窓から、枯れ葉が校舎へ入り込んでくる。儚げな笛のような音をさせて。真っ赤な葉、黄色い葉、茶色い葉。校舎の中には不釣り合いな色とりどりの葉が、くるくると回る。小さな嵐のように。
「金原智明。どうぞ、よろしく」
 小さな嵐で紅茶色の髪を乱れさせながら、僕は宣戦布告の挨拶をした。
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