奪ふ男
ジョーカー 2−16 (6/6)
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「冗談はやめて。いい加減で嘘ばっかりの言葉で、私を迷わせないで」
「嘘なんて」
「聞きたくない。どれだけ、どれだけ、私のプライドを根こそぎ奪い取れば気が済むの。そんな話をするならもう――話しかけないで」
ぴしゃりと言い、僕の口を封じる。
ルリは残光に染まりながら、駆けていく。
怒りの理由もわからなければ、どうすればいいのかもわからない。
なんで、僕の気持ちがそんなに嫌だってこと? ……そんなことないよね?
ルリの気持ちを知りたい。
でも言われた以上問い詰めるわけにもいかない。話しかけるなというなら、話しかけるわけにはいかない。
僕はただ彼女の姿が小さくなるのを見ることしか、できなかった。
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