翼なき竜

10.戦争と人 (5/5)
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 そんな状況にばからしくなって、ブッフェンは女王を止めるのをやめた。
 女王は嬉々として愛竜のギーに乗って、前線に出るようになる。もはや止めるものはどこにもない、誰にもない。

   *   *

 ブッフェンは後に思う。
 このエル・ヴィッカの戦いの戦場にデュ=コロワか宰相がいれば、何かが変わっていただろうか、と。
 デュ=コロワはまた違った選択をするかもしれないが、結局ブッフェンと同じ道をたどりそうな気がする。
 しかし、宰相がいれば、何かが変わっていたかもしれない。
 そう思うのは、女王が城へ凱旋した日に宰相が彼女にしでかしたことを、後になって聞いたからだろう。
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