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 web拍手ss2〜インタビューwith○○〜 

名前・年・家族・好きなもの・秘密



 インタビューwithパトリー
ノア「では、パトリーのプロフィールを聞きますっ! 聞き手は俺、ノアです」
オルテス「ついでにおれも」
ノア「それでは名前を」
パトリー「はい、パトリー=クラレンスよ。パトリー貿易会社を経営しているわ。ちなみに会社の理念は……」
ノア「パ、パトリー、そういうのはいいから。そういう場じゃないから。じゃあ、年齢は?」
パトリー「……16。社長には若すぎるって声もあるけど、この世界、実績が勝負よ」
ノア「だから、会社から離れようよ。ほら、家族構成を」
パトリー「うちは多いのよ。当主の父はあまり家にいないの。母は離婚して、いません。兄が一人、姉が四人よ。あたしが末っ子。で、兄のシュテファンには奥さんのシルビア義姉様と、その間に子どもが……つまり、あたしにとって甥が、一人。これだけいれば、賑やかよ。ただ、姉は全員結婚してもういないけどね」
ノア「うーん、大家族だ。じゃあ、好きなものは? あ、たとえば人とかでもいいと思うよ、俺は! タイプでも可!」
オルテス「質問の趣旨が違っているぞ」
ノア「だって、このインタビュー、超重要な質問事項がないんだぞ!? 好きなタイプは、とか、好きな人は、とか!」
パトリー「まあ、好きなものは、林檎と魚ね」
ノア「……ああ、俺の言ったこととかさりげなく受け流して、普通に答えたね……。うん、あれ、もう最後の質問だ。あなたの秘密は?」
パトリー「秘密……? うちの会社は健全な経営を行っているわよ! 何にも隠しちゃいないし、税金だってちゃあんと払っているんだからっ!」
ノア「いや、多分、これこそ、質問の趣旨と違……」
パトリー「うちは法律に反したことはしていないんだからねっ! (ボソッ)いや、法律の穴は抜けることはあるけど、それは制定した人達の甘さだし……」
オルテス「何かとんでもないことを言ってないか」
パトリー「ともかく! うちは健全でクリーンな会社ですからねっ! パトリー貿易会社は、これからも皆さんの側で、皆さんの生活に役立てる品を商ってゆくつもりです。どうぞ末永くよろしくおねがいします」
ノア「……会社の宣伝みたいに終わったよ……」



 インタビューwithオルテス 
パトリー「さてさて今回は、オルテスのプロフィールを聞いてみようと思いまーす。聞き手はあたし、パトリーです。まず名前を」
オルテス「オルテスだ」
パトリー「それでは年は?」
オルテス「…………。25くらいかな」
パトリー「気になる間の取り方をしたことは置いておいて、家族構成は?」
オルテス「みんな死んでる」
パトリー「…………。いや、こんなところで深刻な雰囲気にしないでよ」
オルテス「仕方ないだろう。事実なんだ。誰も生きてな……ああ、そういやリュインがいたな。家族と言うより親族だが。リュインとは関係的に、妹の夫だ」
パトリー「なんだか可哀想な扱いだわ、リュインさん。それでは、好きなものは?」
オルテス「そうだな……草原を馬で駆けることは、気持ちがいいな」
パトリー「ああ、それは気持ち良さそうねえ。あたしもぜひ、やってみたいものだわ」
オルテス「パトリーには無理だろう。そもそも馬に一人で乗れないのに」
パトリー「べ、別にいいじゃない! ちょっと夢見たって! ああ、もう最後の質問だわ。あなたの秘密は?」
オルテス「パトリーに言っていないこと、という意味ならかなりあるぞ? 全部話したら、大分時間がかかるぞ? 日が暮れるぞ?(28話現在)」
パトリー「じゃあ、その中で一番楽しげで微笑ましい感じの秘密でお願い。ここで言ってもいい内容ね?」
オルテス「……ほ、微笑ましい秘密……。難しい注文だ……。そうだな、実はパトリーと別れてルースと旅をしていた間、どーしても金が足りないことがあってな。パトリーにツケたことが……」
パトリー「何ですって!? 全然微笑ましくないわよっ! ちょっとオルテス! よおく話聞かせてもらうわよ!?」



 インタビューwithノア 
イライザ「それでは、ノア様のプロフィールをインタビューして聞きます。聞き手は私、イライザとなります。都合上。それではお名前を」
ノア「イライザしかいないし、いいか。ランドリュー=ノア=シュベルク」
イライザ「それでは、年齢を」
ノア「18」
イライザ「家族構成をお願いいたします」
ノア「家族は……父の皇帝陛下、第五夫人の母。異母兄弟だけど、兄が二人、妹が二人いるよ。あんまり会って話はしないけどね。ああ、長兄の皇太子は結婚して、子供もいる」
イライザ「では、好きなものを」
ノア「……なんだか、ちゃっちゃと質問して答えて、っていうのが続いているな……。好きなものは……好きなものは……」
イライザ「どうしたんですか? それこそ考えもせず言える答えではありませんか。代わりに私が言いましょうか? みなさーん、ノア様の好きな人はー!」
ノア「イイイイライザー!!!(顔赤)」
イライザ「どうなんです、ほら、さっさと」
ノア「いや、だって、ほら……ごにょごにょ」
イライザ「私の耳元で答えたら、インタビューの意味がない気がしますがね……。まあ、いいでしょう」
ノア「なんで、そんなに急に偉そうになっているんだ……」
イライザ「さて、最後の質問です。あなたの秘密は?」
ノア「秘密なあ……そんな隠すようなことないし……」
イライザ「何を言っているんですか。子供の時何もないところで転んで膝をすりむいて、一日中泣いて『死ぬ、もう死ぬ』とか叫んでいたのが、実は医学部へ行くきっかけだったとか。カボチャパンツの格好をした姿が肖像画になっていて、シュベルク国の王宮で他の美術品と一緒に飾られ、挙句に描いた画家が著名な方だったため、もはや半永久的にそこに飾られ続けることが決定しているとか」
ノア「お前はー! 本当に俺の忠実な部下か!!(泣)」



 インタビューwithイライザ 
パトリー「さて今回は、イライザのプロフィールを聞いてみようと思いますっ。聞き手はあたし、パトリーです。それでは名前を」
イライザ「イライザと申します」
パトリー「女性に聞くのもどうかと思うけど、年齢は? あ、答えなくてもいいわよ」
イライザ「いえ、構いませんよ。25です」
パトリー「では、家族構成は?」
イライザ「母は亡くなり、父は……国外追放されたのだから、どこかで生きているとは思います。兄弟はいません」
パトリー「悪いことを訊いたわね。では、一転、明るく行きましょう。好きなものは?」
イライザ「ノア様です(キッパリ)」
パトリー「うわあ、それはものじゃない気がするけど……」
イライザ「だめですか?」
パトリー「いえ、いいと思うわ。ねえ、本当に恋愛感情ないの?」
イライザ「パトリーさん……しつこいですよ。ノア様の前で、そのような発言はしないことが身のためですよ。あまりの鈍さにかっとなったノア様に襲われても知りませんよ」
パトリー「ええ? ちょっとからかう程度でノアは暴力を振るわないわよ」
イライザ「いやそういう意味じゃ……」
パトリー「じゃあ、最後の質問よ。あなたの秘密は?」
イライザ「秘密……そうですね。実は私は禁酒をしています」
パトリー「おお、偉いわねえ。それは何で?」
イライザ「ノア様には特に秘密ですよ。荒れていたときの話なんです。実は飲み屋でしたたかに酔ったとき、誰も止められないくらいに暴れて、飲み屋の支柱をへし折ったことがありまして……その支柱で建物が支えられていたようで、飲み屋はぺちゃんと潰れたことが……誰も怪我もしなかったのは不幸中の幸いでした。怒り狂った店長から逃げ回ったのも、思い出の一つです」
パトリー「……イ、イライザ……思ったよりスゴいのね……。全然今の姿から想像できない話だわ。このまま訊き続けても、トンデモナイ武勇伝が聞けそうだけど、何だか怖いし、インタビューはここで終了しまーす(汗)」



 インタビューwithシュテファン 
ノア「えー、シュテファンのプロフィールを聞きます。聞き手はなぜか俺、ノア。では、名前を」
シュテファン「……シュテファン=クラレンス」
ノア「んじゃ、年齢は……って、あんたの年齢なんてどうでもいいよ」
シュテファン「私も私の年齢なんてどうでもいいです。25か26でしたっけ」
ノア「いや、そんなこと聞かれても、俺が知っているわけないじゃないか。じゃあ、家族構成は?」
シュテファン「どうせパトリーのプロフィールのところで同じような答えがあるでしょう。私がわざわざ言うことはないと思いますが」
ノア「うわ、めんどくさがった! ……もういいや。さっさと終わらそう。じゃあ……好きなものは?」
シュテファン「…………」
ノア「ほら、聞こえなかったか? 好きなものだよ」
シュテファン「聞いていますよ。呆れていたのです。子供に聞くようなことを聞いてくるとは、と」
ノア「仕方ないだろ。というか、共通の質問なんだぞ。俺も答えたんだぞ。ほら、潔く答えろ。好きなもの。何か意外なものとかさ、ヌイグルミとか、生クリームたっぷりのショートケーキとか、言ってみろよ」
シュテファン「そんな嘘をついて何の意味が。……葉巻」
ノア「葉巻? うわ、意外性のかけらもない答えが……」
シュテファン「後はブランデーも、好きですかね」
ノア「それも普通だよ……。もうちょっと驚きの何かとか言ってみろよ。こっちがつまんないぞ」
シュテファン「そもそも聞き手が悪いと思いますがね、こういう場合は。面白くインタビューするのも、つまらなくするのも、聞き手の力が大きく左右するものでしょう」
ノア「……なんだ? 俺が悪いってか?」
シュテファン「ははは、殿下も学習能力はあったようですね。自覚しているとは」
ノア「お、お前なあ! だいたい、嫌いな奴のインタビューして、面白くしようと思うわけがないって!」
シュテファン「そんなもの、私に関係ありませんね。質問はどうしたんですか? 与えられた仕事すら忘れましたか?」
ノア「…………(怒)。じゃ、最後だ。あーもう清々する。最後の質問は、秘密は何か、だって。聞く前からわかるよなー。絶対面白みのない話だって。だって中身が面白みゼロのつまんない人間だもんなー。さもなくば絶対世知辛くて、冷たくて、人間の血が通っているとは思えない話だよ」
シュテファン「聞く前から勝手に何を……。ではこうしましょうか。殿下がこの秘密を聞いて、私の人間としての優しさに感謝したなら、この場で逆立ち。もし殿下がそう思われなかったら、私が逆立ちでも何でもしますよ」
ノア「あんたの人間としての優しさに感謝する? そんなこと、夏に雹が降ったってありえないって! あんたが逆立ちかあ、見ものだなあ」
シュテファン「ではよろしいですね? ……実はパトリーと殿下との結婚話を推し進めていたとき、クラレンス家からパトリーの肖像画を送りましたが、皇家からも、殿下の肖像画を受け取っていたのです」
ノア「ん?」
シュテファン「パトリーに見せようと思っていたのですが、ところがその絵が……どうやら、皇家が絵を取り違えたようなのです」
ノア「……と、取り違えた?」
シュテファン「カボチャパンツを履いた、どうにも時代錯誤でピエロのような格好をしているとしか思えないような男の、有り体に言えば、10人中10人笑い転げる姿をした男の肖像画でして。私は滅多に笑いませんが、あれは私の人生中、最大の笑いを誘ってくれました」
ノア「…………」
シュテファン「こんな姿の男と結婚しろ、とパトリーに言ったら、普通でも結婚したくないと言っていたパトリーが本気で自殺するか尼になるかで迷うだろうと思いまして、私はパトリーに肖像画を見せないことにしました。どうです、私の優しさが伝わってくれましたか?」
ノア「…………」
シュテファン「それともやはり冷たいと思いますか? それなら今からでも、パトリーに送って見せてもいいのですよ? 全て私の胸一つに収めたのは、本当に深い心を持ったゆえであると思いませんか?」
ノア「逆立ちをさせてもらいます」





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